更生を誓ったのは刑務所の中

念願の大学生

苦労して大学に入った僕は、念願の大学生活に心を躍らせていました。どんな友達ができるだろう、この中に将来付き合う女性もいるかもしれない、サークルは何に入ろうかな、そういった希望がたくさんありました。すごく大きい大学ではなかったものの、期待せずにはいられませんでした。大学生に実際なってみると、意外とドラマでみるような青春ストーリーは起こりませんでした。わかってはいたものの、期待して入学した僕はどこか物足りなさを感じながら、日々の大学生活を送っていました。


きっかけ?覚えていません。

そんなとき、よくつるんでいた仲間の一人が、みんなでパチンコに行こうと言い出しました。どんなきっかけかは正直あまり覚えていません。この頃から授業が終わるとほとんどの仲間たちはパチンコ屋に行く流れになっていたので、僕もそれが自然になってきていましたから。大学の駅のすぐ横にパチンコ屋さんがあり毎日通ることもあって、僕の日常には気が付いたらパチンコに行くことが当たり前になっていました。居酒屋でバイトしていた僕は、すごくお金があるわけでも、すごく困っているわけでもなく、わりと普通でした。しかし、居酒屋でバイトしていたり期待通りではないつまらない大学生活、単位が足りないと友達同士で言い合っては、パチンコ屋でストレス発散。大当たりしたり、なんか怠いという理由で授業を休むこともありました。気が付いたら僕の日常は、ほとんどパチンコ屋の中でした。仲の良い友達もいるし、面倒くさい授業も課題も忘れさせてくれる。そんな生活が続き、ふと生活費を使ってしまいました。もうすぐバイト代が入るから大丈夫。そう思っていたのですが、バイトにあまり入ってなかったのもあり、バイト代をオーバーしていたのです。僕はかなり焦りました。新しい服も、飲み会も、予定していたものがたくさんあるのに、お金がない!初めて上限を超えてしまいました。しかし、よく一緒にパチンコに行くツレが貸してくれたので、全く気にならなくなりました。そしてそのあとも、そのツレに借り続けました。勝って返し、負けて借りる。その繰り返しになってきました。だいぶ借りているという自覚はあまりありませんでした。大きく当たればすぐ返せる。変な自信がありました。それが日常になってきたころ、ツレも負け続けて、貸すお金がないと言いました。一番近くで見ていたので彼のいうことも納得がいきました。ちょうどそのとき、仲良くしていた女友達にいってみました。そしたら貸してくれたので、ここでも僕は簡単に手に入ったお金に対してあまりありがたみを感じませんでした。その女友達からは、大学を卒業するまでに50万くらい借りたと思います。


更生のきっかけは逮捕

僕が本当に更生しようと心に誓ったのは、逮捕されたことでした。女友達とツレ、友達、いろんな人に借りていて、それぞれからの催促、正直ないものはないんだ!と叫びたい気持ちでした。僕がまいた種なんですけどね。お金に本当に困っていて、先輩の仕事を手伝うというバイトをしたときに、詐欺に関わってしまい現行犯逮捕されました。僕がいままでしてきたことのつけが回ってきたのかもしれません。そのときは、僕は主犯格ではないからすぐ出れるだろうと思っていました。しかし、思った以上に時間もかかり、「はい、今日からあなたの生活の場はここです」と突然いれられて、あまりのことに頭が追いつきませんでした。やっと現実を受け止め反省したころには、もう遅かったです。反省しても、現実は変わりませんでした。結局僕は1年以上そこで暮らしました。僕が主犯格ではなかったのと初犯だったこともありそれで済んだものの、やはり失ったものは大きかったです。今後の人生に、「前科」というものがくっついてくることくらい容易に想像できました。しかし、そうならなければ僕はわからなかったのだと思います。元の生活に戻っても、取り戻せないものはたくさんありました。それから必死で働き、大学の授業もちゃんと出て、なんとか卒業することができました。よくパチンコにいっていたツレは、いまでも仲良くしています。しかし女友達とは疎遠になってしまいました。ちゃんと借金は返したものの、お互いどこか違和感を感じていたのでしょう。貸してくれていたことに感謝はありますが、こうなってしまったのはどうしようもありません。なぜこうなる前に気づけなかったのかと思うことはあります。「前科」で嫌な思いをする場面は、いまでも多いです。お金にだらしなかったのが一番の原因だと思います。あんな思いはもうしたくありません。

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