「脳刺激」で完治する!?脳科学で依存症を克服する治療方法とは?

「依存症」の治療に脳科学は不可欠だ。

そう改めて考えさせられる治療法が、いま話題になっている。

薬物依存症に悩む患者を治療するための方法が、
依存症全般に効果があるのではないかと注目されているのだ。

◆脳神経を刺激して神経回路を変える

従来の治療に限界を感じていた医師は、ここ数年の依存症の研究にヒントを得て「経頭蓋磁気刺激法」(TMS)による治療を試みている最中だ。

近年の研究によると、依存症患者の脳内では欲求、習慣の形成、快楽、学習、感情の制御、認知に関わる神経ネットワークとその働きが妨げられていることがわかってきた。脳が持つ柔軟性が逆に仇となって、依存症に陥ると神経回路が変わって、薬物やアルコール、ギャンブルなど、依存しているものを最優先にするようになっていくという。

依存症は病的な形での学習といえる」と神経学者は話す。
アメリカの研究チームが行ったラットの実験では、コカインを求めるラットのニューロン(神経細胞)の活動電位を測定し、行動の抑制に関わる領域が以上に不活発になっていることに気が付いた。
試しにこの領域のニューロンを活性化させると、コカインにほとんど興味を示さなくなったという。
このように、人間の脳でも前頭前皮質にある行動抑制にかかわる領域を刺激すれば、薬物などの依存対象を求める激しい衝動を抑えられるかもしれないと論文に記した。

この方法が、依存症の治療に役立つのではと考えた。TMSは脳内の電気回路に刺激を与える手法で、うつ病や片頭痛の治療に以前から使われてきたからだ。この装置を利用して繰り返し磁気刺激を与えれば、薬物で損傷を受けた神経のネットワークを活性化できるのではないかと。

試験の結果は良好だった。試験に協力してくれるコカイン依存症患者を募り、16人に1ヵ月間TMSの治療を実施した。比較のため13人には不安や抗うつを和らげる薬の投与など従来の治療を施した。試験終了までに、TMSを受けた11人がコカインを断てたが、もう一方のグループで回復した患者は3人だけだった。

◆そもそも、依存症とは?

つい最近まで脳のネットワークを修復して依存症を治すなんてことは想像もできなかったが、神経科学の進歩で今や依存症の概念は大きく変わりつつある。

言わずもがな、依存症は道徳心の欠如が原因ではなく脳の病気だということは、ようやく浸透してきたように思われる。何年も前から学界で示されてきたこの見解を、米公衆衛生局長官の報告書もようやく認めた。依存症の特徴は、生活破綻をしてまで特定の行為を繰り返す強い衝動にあることだ。いまでは多くの科学syあが、依存症を引き起こすのはアルコールやたばこ、薬物だけではないと見解を持つようになった。

米国精神医学会が作成した「精神障害の診断と統計マニュアル」の最新版DSM-5では、行動嗜癖(しへき)の一つであるギャンブルが初めて障害に分類された。ジャンクフードや買い物、スマートフォンなど、現代人を取り巻くさまざまな誘惑も依存症を引き起こすと考える研究者もいる。これらもまた、激しい欲求を生む脳の回路「報酬系」に強い影響を及ぼすからだ。
この欲求に駆られているときに活発に働く回路はMRI(磁気共鳴画像法)の画像を見ればすぐにわかる。報酬系は脳の原始的な回路で、ラットの脳でもあまり変わらない。その働きにより人間は目や耳、鼻を駆使して生存に必要なものの在りかを突き止めようとする。報酬系は本能と反射をつかさどる脳領域にあり、食べ物や繁殖相手をめぐる競争が死活問題だった時代には役に立ったが、欲望を満たす機会がいくらでもある現代では私たちを陥れる罠になりえる。

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◆海外の治療法はとても参考になる

いかがでしたか?

上記のように、脳神経を刺激しギャンブルからの依存を解く「経頭蓋磁気刺激法」(TMS)を用いた治療法は、かなり効果的なのではないかと注目を集めています。

このように海外の治療法がかなり進んでいて、日本がいかに遅れているかがわかります。
依存症の早期予防はもちろん、なってからの処置が適切でないと、悪化させてしまう恐れがあります。「依存症は脳の病気」という常識があまり浸透しておらず、病院にいくという発想がないために悪化してしまうケースも多いといいます。

様々な治療法が開発されていますし、国全体で取り組むべき問題だと感じました。