1,はじめに
パチンコ・パチスロの依存者になると「失うモノ」がたくさんあります。
お金、時間、信頼、―――快楽と引き換えにどれほど失えば良いのか?
何もかもを失っていく、そんな依存症患者の実態を語りたいと思います。
2,金銭感覚と優先順位の崩壊
最初に崩れていくのはお金の価値観です。どのような心理でお金を湯水のようにパチンコ台へと入れてしまうのか?
例を聞いてください。仮にお金がもらえるとして、
1)絶対にもらえる5万円
2)50%に勝てば10万円、負ければ0円
あなたはどちらを選びますか?
期待値は同じですが、日本人の多くが安定した収入である「1)絶対にもらえる5万円」を選びやすいとされています。
例を変えて、仮にお金を払わなければならないとしたら、
1)絶対に払わなければいけない5万円
2)50%に負ければ10万円払い、勝てば0円
あなたはどちらを選びますか?
こちらも期待値は同じですが、損失をできる限り抑えたいと意識が働き「2)50%に負ければ10万円払い、勝てば0円」を選びやすいとされています。
パチンコ台にお金を入れた時点で”損失”は始まっています。さらに「取り戻せる可能性」があります。(もし当たれば…、連チャンすれば…)そんな思いが、打つお金がなくなるまで追加投資をさせるのです。
パチンコ・パチスロにおいて、『大勝が最も怖い』落とし穴です。(あんなに出たことがあった。あのときは逆転できた)そんな記憶が優先順位を崩壊させます。
3,快楽に塗りつぶされる罪悪感
金銭感覚が壊されて、『すべてにおいて、パチンコ・パチスロに入れるお金が優先される』ようになったら、何をしてでもホールに行きたくなってきます。
最初は、他に使う出費をできるだけ抑えたり、貯金を崩したりして「打てる時間があれば、打ちに行く」ようになります。
次に、「何か、モノを売ってでもパチンコしたい」と、ゲームや漫画、趣味で集めていた物などを売却してホールに行くようになります。
そして、「誰かにお金を借りてでも…」と、友人や親や知り合いに借金を作り始めます。
最後には「どんなことをしてでも、パチンコ・パチスロが打ちたい」と、本当はいけないと分かっているのに、身近で盗めるお金に手を出してしまう場合もあります。
ホールで得られる”快楽“や”高揚感“が『勝てば大丈夫』を免罪符にして、罪悪感を薄くしてしまうのです。
4,壊れた心の果てに
何をするにも頭の中にパチンコ・パチスロのことが思い浮かんで、それ以外のことが希薄になってしまう。
シャワーを浴びているとき、車を運転しているとき、ベッドで寝るとき、「ふと浮かんでくるのは大当たりの妄想」。
「どうすれば打てるのか」と、金策がグルグルと頭の中を回っている。
パチンコ・パチスロの依存者になると、それまで普通にできていたことができなくなって、壊れた心は自分の”異常”な行動を「何か言い訳を作って」正当化してしまいます。
職場の同僚、家族、友人に『当たり前のように嘘をつく』のが”異常な行動”だと、認識できなくなってしまうのは、本当に怖いことです。
5,おわりに
心が麻痺して、「性格が変わってしまったことに気が付けない」パチンコ・パチスロの依存者は、何よりも自分を見失っています。
適度にお金を使う趣味として、リスクとリターンを考えて、楽しく遊んでいるのであれば問題はありません。ただ、パチンコ・パチスロは中毒性のある薬物のように、”依存度”が高くなる恐れがあります。
現実と妄想を分からなくする麻薬のように、正常と異常をあいまいにさせ、「考え方が昔の自分とは変わっていることに気が付けない」と、大切なモノを失ってしまうかもしれません。