カードローンの社会問題について触れる【こんなの間違ってる!】

2016年は自己破産を行った人が急増したことによって、銀行カードローンの総量規制の問題が世間に露呈しました。それを受けて、今回紹介したいのは「銀行カードローンの社会問題について」です。
筆者自身、カードローンを利用した経験があり、苦しいときには助けられた内の一人です。それもあってか、銀行カードローンの総量規制が社会問題になっていることが理解できずにいます。私は、助けられたからです。

この記事では、予想に反して社会問題になってしまった銀行カードローンと、消費者金融との違いを交えながら利用者の一意見として紹介していきたいと思います。借金問題や債務整理問題などは聞いたことがあると思いますが、より深く知っていただこうと思います。

◆2016年、自己破産者13年ぶりに増加

こんなニュースが世間に衝撃を与えました。

『2016年の自己破産申し立て件数は6万4,637件で、申請件数が前年と比べて13年ぶりに増加した。』

このニュースは一時期話題になりました。なぜ自己破産申請者が増加したのか?その背景には何があるのかと思っていたところ、「総量規制のない銀行カードローンが悪い説」が浮上したのです。

「銀行カードローンの総量規制ってなぁ~に?」という者から、「返済能力のない人に貸すなんて間違っている!」という正義感を掲げる者まで様々な意見が飛び交いました。

そしてこのニュースは日本中を駆け巡り、「原因はなんだ?」「銀行カードローンが悪いんだ」という悪者づくりが始まりました。

【 銀行カードローン問題 | 要点簡単まとめ 】

・銀行が提供するカードローンは担保を必要としない個人向けの「無担保ローン」である
・10年前と比較して約6割ほど増えた

Q.増えた原因は?

銀行カードローンは金利が低く、15%程度と低く、また総量規制の対象外であることから銀行力を入れたため、と言われています。

Q.総量規制とは?

一言でいうと「年収の3分の1以上借入ができない法律」です。2010年6月に改正貸金業法の完全施行で導入され、消費者金融などの貸金業者は融資できる額を制限されました。(各社合算して年収の3分の1まで)

Q.銀行カードローンは総量規制の対象にならない?

銀行カードローンは厳密にいつと貸金業者ではないため、銀行法が適用されます。銀行法では、総量規制はありません。その他にも、総量規制の対象にならないものは多くあります。複数の借金を一本化する「おまとめローン」や人々の夢であるマイホームを手に入れるための「住宅ローン」などもその一つです。

今回のことで、銀行カードローンは総量規制がなく年収に関係なく借入が出来てしまうということが問題になりました。

Q.今後はどうなるの?

銀行業界全体は法規制に反対していて、今年3月融資審査を厳しくすることを発表し、自主的に対策を取ることを発表しました。例えば、みずほ銀行の融資上限額を2分の1から3分の1に引き上げるなど、各行でルールを設ける動きが強まっています。

銀行カードローンのついてもう少し詳しく

 

◆それで、自己破産ってなに?

次は、「自己破産」について詳しくみていきましょう。
自己破産は債務整理の中の一つで、申請を行って返済能力がないことが認められると、借金チャラになります。しかし、それだけではなくデメリットもあり、自己破産をすると「官報」に載ります。これによって、今後7~10年は新たな借金が作れなくなります。また様々なことが制限されます。

債務整理は大きくわけて4種類あります。⇒自己破産任意整理個人再生過払い金請求

 

おそらく誤解されていると思いますが、自己破産は「人生終わり」ではありません。むしろ新しいスタートのための手段です。
事実、過去10年で自己破産を行った方は日本全体で約100万人ほどいます。さらに20年前にさかのぼると合計300万人が自己破産を行ったという統計があります。簡単に計算すると30人に1人は自己破産経験者。小中学校の1クラスが30人ほどだとすると、1クラスに1人は自己破産を行っている計算になります。意外と多い数字ですよね。

誤解していただきたくないのは自己破産=死とかではなく、新しいスタートであるということです。お金を返せなずに自殺してしまうような人もいますが、そういったことを防ぐ国の制度です。自己破産したから人生終わり、失格という誤解はそういったリセットボタンを見えなくさせてしまいます。自己破産という名の人生のリセットボタンだと考えてください。

◆銀行カードローンと消費者金融の分かれ道

今回、問題の争点となったのは主に「銀行カードローン」です。そう、消費者金融には批難はありませんでした。なにがそうさせたのでしょう?これは言わずもがな「総量規制の有無」ですね。

ここだけ切り取ると銀行カードローンが悪者に見えてくるのかもしれませんが、本来カードローンやキャッシングはお金に困った人が借りるところですよね?
消費者金融は貸金業者であり高い金利でお金を貸しているのであればこちらも批難されるべきではありませんか?
そもそも、消費者金融は金利29.2%とかでしたよ。それが、平成22年に出資法の上限金利が引き下げられて年20%までになりました。それ以前はもっと酷くて、闇金並みの金利を取っていた時代もあるくらいです。

《上限金利の推移》

期間 上限金利
改正前 109.5%
1983年11月~ 73.0%
1986年11月~ 54.75%
1991年11月~ 40.004%
2000年6月~ 29.2%
2010年6月~ 20%

(109.5%って・・・怖すぎる。。)

そして、出資法ができ金利は今の形に落ち着きました。
これは1社からの借入となるので、複数社から100万円以上借りている方は最低でも3%は損をしているのです。
そんな人が利用するとお得になるのが「おまとめローン」です。金利を下げるために借金を一本化するのは大きなメリットとなります。

《現在の上限金利》

元金 金利
10万円未満 年20%まで
10~100万円未満 年18%まで
100万円以上 年15%まで

話が逸れたので戻すと、今の金利に落ち着いたのもこういった推移があったおかげです。
業者にもよりますが、多くの消費者金融は上限金利を年18%、銀行カードローンは大体15%前後に設定しています。
上記の109.5%の金利なんておそろしいですよね。

そして、法律の改正によって金利はどんどん低金利になっていきました。そしていまのような、銀行カードローンは低金利、消費者金融はそれに比べると高金利という図が出来上がりました。また金利には下限金利と上限金利があり、利用者によって設定される金利が異なります。(こちらでも紹介しています⇒カードローンの金利とクレカのリボ払いってどっちが得なの?比較してみた

設定される金利はその人の「限度額」によって決まります。限度額は審査によって決まるので、社会的信用が高く高評価な人であれば金利一桁までに抑えることが出来るのです。これが下限金利です。
利用実績のない初めての方や、多くの人は上限金利でしょう。また、適用されている金利の分布は上限金利から徐々に少なくなっていくことが予想されます。

例えば、みずほ銀行の金利をみてみましょう。

【みずほ銀行】(コンフォートプラン)

利用限度額 実質年率
10万円以上~100万円未満 年14.0%
100万円以上~200万円未満 年12.0%
200万円以上~300万円未満 年9.0%
300万円以上~400万円未満 年7.0%
400万円以上~500万円未満 年6.0%
500万円以上~600万円未満 年5.0%
600万円以上~800万円未満 年4.5%
800万円以上~1,000万円以下 年4.0%

非常に低金利ですよね。これは銀行の努力というやつでしょうか。銀行カードローンは全体的に低金利なので、クレジットカードのキャッシング枠より便利で低金利で人気です。消費者としては助かります。お金が足りないときは誰にでもあります。また、クレジットカードなども多く使うようになって余計に「金利をなるべく抑えたい」という気持ちが強くなったはずですから。⇒カードローンの金利とクレカのリボ払いってどっちが得なの?比較してみた

それが銀行カードローンによって実現したのですから、「感謝」すべきですよね?
ではなぜ、銀行カードローンが批判されているのか・・・?私には理解しかねるのです。そこで、私の中で結論づけたことがあります。

カードローンの違いはあるの?銀行と消費者金融の審査の差とは?

◆結局のところ、日本人特有の「批判したがり」でしょ?

もう、コレ。コレに尽きます。

 

日本ではよく「苦情が殺到する」といったことがあります。根が批判精神だから。
芸能人が少し問題を起こしたら「批難殺到」「叩かれる」「炎上」・・・
どれだけ暇なんだよ・・・(どんだけ~~~)と思うわけです。受け流すこと、そういう事実として受け入れることが出来ないんですか?と。
何かがあればすぐに批判。批判したがりの文化なのかもしれません。

私にとっては、これもその一部のような気がしています。

もちろん、利用する人はそのシステムを理解する必要があります。それを理解した上で利用するのが当たり前なのです。そして、借りすぎた人が自己破産をしてしまったらそれは「自己責任」です。
銀行カードローン側が批判されるような国民性にはウンザリです。

 

◆個人的な意見 | カードローンは自己責任、だから

内容としてはかなり個人的なことも含まれていますが、便利なものの数々を利用している一利用者として、世間の風潮で感じていることを書いてみました。
私自身、クレジットカードもカードローンも非常にお世話になっています。現金がないときはクレジットカードが便利ですし、どうしても現金がないときはカードローンが便利です。もちろん借りすぎには注意しながら、ATMの手数料や金利も理解した上で利用しています。クレジットカード会社、銀行カードローンに思うこと、それは「助かってます。ありがとう」くらいです。なぜ批判になるのか・・・

借金まみれになったらそれは自己責任。
借りすぎたのは国の法律のせい!銀行カードローンのせい!って言っているのは、あまりにも幼稚だと思いませんか?これが責任転嫁と言わずに何と呼ぶのでしょうか。
利用するのであればメリット・デメリットを理解する、自分を律するのは当然です。

仮に「保証人になって!」といわれたらその危険性を理解した上で行動しますよね?そして、もし保証人になってしまって自分に無関係な借金が出来てしまったとしても、「そんな制度は間違っている!」というのは間違っていると思いませんか?保証人になったのはあなたの責任です。その危険性を理解していなかったのですか?と思うでしょう?

これと同じで、銀行カードローンがおかしい!国の法律がおかしい!というのは間違っています。むしろ、それを理解出来ない人が多い方が問題だと思います。銀行カードローンが問題になっていますが、それを批判ばかりする国民性、システムをしっかり理解せず安易な気持ちで利用する人が多いことの方が問題だと、私は思います。

カードローンを利用する際は十分考えた上で、金利や手数料を考慮した上で申し込みましょう。

ご利用は計画的に!