芸能界の薬物汚染を通して「依存症」を考える。経験者が回復して思うこと

今回、とある元プロ野球選手が覚醒剤で執行猶予判決を受け、雑誌の表紙になったことで注目を集めた「薬物依存症」の側面から、「依存症」についてさらに深堀していきたいと思います。芸能人にも多い薬物依存症…「依存症」って何ぞや?という方にも、出来る限りわかりやすく紹介できるよう努めていきたいと思います。かつてギャンブル依存症であった筆者が、依存症経験者が回復して思うことを語っていきたいと思います。依存症の真の怖さを想像してみてください。

◆元プロ野球選手と覚醒剤

かつて日本のニュースを独占し、トップニュースとなった元プロ野球選手の覚醒剤使用による逮捕。そんな彼が去年5月に執行猶予判決を受けました。それを受けて雑誌Numberのインタビューを受け、同雑誌の表紙にもなったことで再び話題となりました。その表紙には、太ったスキンヘッドにゴールドのネックレスで見るからに「怖い人」というかつての面影は影も形もなくなった爽やかな姿をしたおじさんが映っていました。髪の毛は伸び七三分けにあれ、紺のスーツに痩せた頬で「更生」したような出で立ちだったのだ。見るからに反省しているような印象を受けざるを得ない。しかし、もちろん見た目を変えただけで薬物依存の苦しみから逃れられたわけではないだろう。薬物など、「依存症」はみんなが想像するよりはるかに苦しく、理解できないほど辛いものなのだ。

元プロ野球選手と覚醒剤という異色のコラボで、マスコミは食いつき大々的に報道しました。正直、私としては彼が覚醒剤を使用していたことは意外でもなんでもありませんでした。ニュースを耳にしたとき「まだ一度も捕まっていなかったんだ!」と驚いてしまいました。六本木界隈でよく飲み歩いていた私は、彼の噂をよく耳にしていたので、何も不思議ではなかったのです。それが世間とのズレであることをその時初めて感じました。

◆なぜ芸能界に覚醒剤経験者が多いのか

では、なぜ芸能界はそういったイメージが強いのでしょうか?今回は元プロ野球選手でしたが、一般人からみると芸能界は少し怪しい雰囲気が出ていると感じる。そして、この環境こそが芸能人の覚醒剤使用のニュースをもたらしているのではないかと思う。

覚醒剤には「環境」が大きく関係するのではないかと思うのです。一人ひとりが覚醒剤や依存症をどう「認知」しているか、には個人差があります。認知とは「物事の捉え方」を意味します。物事の捉え方は環境によって変わるのです。もちろん、芸能界の中の人が覚醒剤を使用していたからと言って全体で括るのは、使用したこともなく絶対反対な人達にとっては大きな迷惑かもしれないが…

この認知が覚醒剤の蔓延に繋がる可能性があることを忘れてはならない。物事の捉え方によって、覚醒剤と聞いてイメージすることは人によって変わる。「どちらかといえば興味がある」「1回ぐらいはやってみたい」という考えの人もいれば、「絶対にダメ」「怖い」「使用するなんてあり得ない」と絶対反対な人もいるでしょう。こういった認知が環境によって左右すると考える。極論、そういった環境に身を置いていなければ、覚醒剤は手に入らない。覚醒剤が手に入る環境であれば、認知の差が出るのは不思議なことではないのだ。

 

◆依存症の回復のステップ

ここで、薬物依存症と通じる「依存症」のメカニズムをみなさんにお教えしたい。
依存症は足音を立てない。気が付いたら、それなしでは生きられなくなってしまっている。数々の実験によって、依存症のメカニズムが徐々に明るみになってきた。

その一つがラットの実験だ。(ギャンブルに関する実験はこちら⇒【まとめ】パチンコは実験だ!パチンコにまつわる実験5選
その実験では、まず二つの水を用意する。一つは普通の水、そしてもう一つはヘロイン入りの水だ。
その二つの水を、それぞれ孤独なラットと仲間のいるラットに与え、檻に入れる。すると、孤独なラットだけがヘロイン中毒になるというものだ。孤独なラットは文字通り一匹だけ檻に入れる。仲間のいるラットは、他にも数々の遊具などを一緒に入れておく。結果は一目瞭然であった。時にはヘロインが入った水を飲むこともあったが、中毒になることはなかった。
これによって、依存症の根本は「寂しさ」にあることが証明されたのです。

実験詳細はこちら(⇒パチンコ依存症解決のカギは『寂しさ』にあった

依存症に最も良いのは、「孤独にならないこと」です。特に寂しがり屋の人は注意しましょう。人によって、孤独を楽しむタイプと孤独が苦手なタイプがいます。無意識のうちに寂しさを感じたりしてしまう可能性もあります。そういったタイプの方は「依存体質」であることを自覚しましょう。孤独にならないために、人を頼る、コネクションを作る、自助グループに参加するなどが挙げられます。これは継続的に行うことが必要になります。

次のステップで大事なことは、依存対象に勝てないことを知ることです。依存症には薬物ギャンブル喫煙アルコールセックス…様々な種類があります。
依存症になったことがある人は、初期段階でほとんどの人が否定します。「自分は依存症ではない!」と。しかし、それが逮捕などをされることで認めざるを得なくなるのです。芸能人などは話題性があり警察も早く動くことから、逮捕されることによって救われるケースも多いでしょう。この「認める」という気持ちがとても大事なのです。自分の弱さを受け入れて初めて、依存症の治療がスタートすると言っても過言ではありません。

続いては、依存症の引き金になることを避け、スルーするスキルを身につけることです。依存症の治療中も、必ず誘惑はやってきます。足音を立てずに。スッと自分の中に入ってきます。そういったきっかけになり得ることをリストアップし、対処法もメモしておきましょう。例えば、手首に輪ゴムを付けておき、思考がネガティブになっていったら軌道修正のために「輪ゴムパッチン」。やりそうになったら輪ゴムパッチン、と習慣付けていき、15分間違うことに集中しましょう。電話・お風呂・食事・運動、など、なんでもいいから15分集中してみてください。なぜ15分間かというと、学術的にいうと薬物に対する欲求は15分経つと消えるといわれているのです。他には、ボイスレコーダーに自分の意思を録音しておく、笑うなど、すぐに実践可能なことをピックアップしておくと良いでしょう。(⇒【まとめ】パチンコ依存症に効くオススメの克服法16選

◆短期・長期の治療法をひたすら継続する

これらの治療方法は、「短期」か「長期」かに分ける事が出来ます。短期的なことは瞬時に行うこと、長期的なことは継続的に行うことです。
瞬時に行うことは、先ほどの「輪ゴムパッチン」「ボイスレコーダーの声を聞く」「ハンドスピナーで集中をそらす」などです。継続的に行うのは、「先を見つめること」です。自分に自信をつけるスキルを身につけたり、人生の目標を具体的に設定するなど、どんな風に生活したいかなどを見つめ直す機会にしましょう。

自分の弱さを認め、治ると信じましょう。短期的な治療法と長期的に継続すること、治ると信じて疑わない心を持つことが大切です。「絶対に治る」と信じていなければ、治るものも治りません。まずは自分を信じることから治療がスタートします。

◆依存症経験者が回復に向かい始めて思うこと

紹介した通り、筆者は元パチンコ依存症でした。依存症が回復に向かい始めて、「依存症の治療法」を調べてこのHPを立ち上げました。そこで初めて、「依存症」が3種類あることや、依存症になると脳が変形することを知りました。現在では回復に向かっている私だからこそ、伝えたいことがあります。

依存症は、必ず治ります。それを私が証明しています。そして、そう信じることが何よりも大切です。
そして、依存体質の人はいます。私の場合は対象がたまたまパチンコでしたが、薬物依存症になっていたかもしれませんし、セックス依存症になっていたかもしれません。もしくは両方だったかもしれないのです。そういった一つひとつの自覚によって、様々な発見がありました。依存しやすい体質だから気をつけよう、ですとか、依存しやすいということは今自分は孤独を感じているのかもしれないなど、自分を客観的に俯瞰してみることが出来るようになりました。そういった変化や心の奥に感じていることを見逃さない大切さがわかるようになりました。

依存症の怖さを理解し、なってしまったら必ず立ち直ると信じる心を持ち続けましょう。