パチンコ依存症につながる褒められたい認められたい欲求

◇ギャンブルと承認欲求の関係

dakisimeru

私たち人間は、スポーツやゲームに熱中し、贔屓チームの勝ち負けに一喜一憂する生き物です。

ギャンブルは大人になってからというイメージがありますが、実は物心がつく以前の子供時代から、生活の中で賭け事や勝負事に触れている瞬間は多くありました。

たとえばトランプのババ抜きも立派な勝負事のひとつです。

誰がババを持っているか、どうハッタリをかまして自分が持つババを相手にひいてもらうか、このような相手との心理的駆け引きにスリルを感じ、興奮を覚えたものです。

うまく相手を出し抜き勝利を手にした子供は、ババ抜きをきっかけに誰かに勝つという快感を知り、勝負ごとを好むようになっていきます。

当然、勝負事や賭け事に興味がない人も一定数存在しますが、基本的に人間は周囲よりも優れていたい、優位にたちたいという心理を抱えているのです。

この認められたいと思う心理を「承認欲求」と呼びます。

承認欲求は、赤ちゃんの頃から存在しますが、母親に上手にできたことを褒めてもらえたり、悲しい時やつらい時にきちんと話を聞いてもらえたりと、自分に向き合ってくれる環境があることで、初めて満たされるものです。

しかし子供時代を卒業し、社会でバリバリ働く大人は、どれだけ努力しても頭を優しくなでてくれる母親のような人はいません。

こんなにがんばっているのに、こんなにつらいことがあったのに。

そんな抑圧された気持ちを吐き出す場がない現代人は、いつまでも承認欲求が満たされることはなく、常にもやもやを抱えてしまっている人が多いのです。

近年問題となっているギャンブル依存症は、このような心のもやもやを抱えている人がかかりやすい疾患と言われています。

「パチンコに投入した数千円が何万円にもなって返ってきた。」

ギャンブルでそのような大勝ちを経験した人は、自分は他の人よりも優れている、本当は能力が高いすごい人間だったと、自信が出るきっかけとなるのです。

すると、自分が周囲の人間に認められていると錯覚し、一時的に承認欲求が満たされます。

つまり、子供のころに知った勝利という快感を思い出した大人は、かつての勝負事の手段だったトランプを、パチンコ、競馬へと発展させていくことで勝つ喜びを得るようになりました。

労働に対して見合った報酬がもらえていないと悩むサラリーマン。

社会から断絶され、誰からも褒めてもらえず毎日の子育てに追われる専業主婦。

特にこういった承認欲求が満たされていない大人は、ギャンブルで勝利を収めることで、自分で自分を慰めることを覚えていき、やがて常に勝ちを求めてギャンブルの世界にのめり込んでいってしまうのです。

◇スキナー箱から見る部分強化の怖さ

sakebu_men2

さて、ギャンブルに大金をつぎ込んでしまう心理は、承認欲求によるものだけではありません。

たとえば、今日は5千円だけにしようと金額を設定してパチンコを打ち始めても、いつのまにか5千円以上のお金を投入してしまう人がいます。

「もしかしたらあと千円入れたら大当たりがくるかもしれない。お金を追加すればマイナスを取り戻せる。」

このような勝つか負けるかわからないスリルを楽しむ心理を、スキナーという心理学者が証明をしています。

スキナー箱」と呼ばれるこの実験は、絶食させた白ネズミが入った箱の中にレバーを設置して、ブザーが鳴った際にレバーを押すとエサが出るようにするという内容でした。

レバーを押すことでエサが出てくると学習した白ネズミは、やがてブザーに強く反応して自分からレバーを押すようになります。

しかし、レバーを押してもエサが出てこないように設定すると、白ネズミはレバーに興味を示すことがなくなりました。

そこで、レバーを押しても、エサが出たり出なかったりとランダムな設定に変更してみたところ、白ネズミはエサが出ないことがあってもレバーを押し続けたのです。

つまり、今回はエサが出なくても、次に押したらエサが出るかもしれないというギャンブル性が、白ネズミの期待を高め、脳に興奮を与えていることがわかりました。

このようなランダムで報酬が得られることを「部分強化」と言いますが、繰り返される期間が長くなるほど強い心理状態となるため、ギャンブルに長い期間のめり込んでいる人ほど抜け出すことが大変になります。

自分を認めてほしい「承認欲求」、そして報酬を期待する「部分強化」。

このような心理が強く働くと、パチンコや競馬といったギャンブルから抜け出せず、重度の依存症患者になってしまう可能性があるのです。

褒められたい、認められたい気持ちをギャンブルで満たそうとするのはとても危険です。

心が疲れたと思ったら、一度歩みをゆるめ、日々の自分のがんばりを称えてあげましょう。